今回のシンポジウムを通じて日本人研究者たちの青銅器時代・原三国時代の年代観について一部わかるようになった。既存の編年観全般を整理・総合した発表した場合が大部分だったので、今後青銅器時代~原三国時代までの広い時期にわたる編年を整理するのに役立った。
1・2の発表を通じて青銅器時代の全般的な編年的流れと細形銅剣に対する詳細が分かるようになった。一方、1の発表から土器に付着した炭化物にも試料としての問題があることがわかったが、批判の根拠は歴博の研究成果で、しかも誤った引用の仕方をしている点が残念である。国立歴史民俗博物館で炭素14年代法に対して基礎的な研究をしている私としては興味ある内容なので、今後検討してみようと思う。
3の発表は鏡に対して専門的な知識がなかった私としては多い勉強になった。やっぱり原三国時代の漢鏡は製作年代、副葬年代、伝世期間との関係をどう考えるのかによって日本と韓国の年代観が行き違う大きい原因となることをまた確認することができた。
4の発表者は新しい見解を発表したが、日本と韓国で出土した楽浪土器を詳らかに観察した結果楽浪地域の土器とは差が多いあるということである。むしろ戦国土器と関連性の方が高いと指摘した。したがってこれまで楽浪土器の影響を受けて出現したといわれてきた韓国の瓦質土器の上限は楽浪設置年代であるB.C. 2世紀末より古くさかのぼることが不能になったというのが、発表者の主張である。しかし、これは再考の余地が多いと考えられる。その間の青銅器と土器によって設定された日韓併行関係と大きく違ってくるだけではなく、土器自体には発表者が指摘した相違点だけでなく似ている点もたくさんある。文化の系譜を論ずる時、遺物の詳細な差を根拠に該当の文化とは関係がないということはむずかしいと考えられる。関係が非常に高い技術的な部分をどう説明すればいいのか、検討してみる必要がある。
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