国内外フィールドワーク等派遣事業 研究成果レポート



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村山絵美(日本歴史研究専攻) | |
1.事業実施の目的 【c.国内フィールドワーク派遣事業】 | |
沖縄県慰霊の日をめぐる現地の動向を探る | |
2.実施場所 | |
沖縄戦跡国定公園 | |
3.実施期日 | |
平成18年6月19日(月) から 平成18年6月30日(金) | |
4.事業の概要 | |
今回の調査は、博士論文執筆のためのフィールドワーク及び、文献調査である。報告者の研究テーマは、「戦争の語りに関する民俗学的研究」であり、本事業では、沖縄本島において以下3点の調査を行った。 |
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5.本事業の実施によって得られた成果 | |
まず、「慰霊の日」前後に沖縄県内に滞在することで、県外では入手しにくい「慰霊の日」に関連した雑誌やパンフレットを入手することができた他、新聞やテレビなどメディアの動きを概観することができた。また、各慰霊祭を参与観察することで、主催者や会場によって、客層や慰霊行為が異なる反面、共通してどの慰霊祭も芸能面を重視しているなど慰霊祭の傾向を見出すことができた。 その一方、当初予定していた慰霊祭の参加者へのインタビューは、親族を慰霊する遺族を目の前にして、行うことができなかった。戦争体験や戦死者について語ること/聞くことの難しさという点は、戦争の語りを研究していく中で、重要な問題であるということを改めて認識させられた。 次に、平和観光の参与観察では、平和観光における戦跡の使用法や、平和ガイドの語りといった点を中心に調査を行った。これにより、平和観光の基本ルートや、平和ガイドの語りの特徴など、より詳しい情報を入手することができた。 さらに、平和ガイドにインタビューを行うことで、平和観光の現状や問題点、平和ガイドになったきっかけなど、平和ガイドに関する幅広い情報を得ることができた。特に、沖縄戦の説明は、遺族・県内出身者・他府県出身者など観光客の立場によって語る内容や語り口を変えているといった点は注目すべきものであった。この点に関して、今後さらに検討を深めていきたいと考えている。 文献資料収集においては、実際に図書館を訪れ、資料を手に取ることにより、データーベースの検索だけでは把握しきれない重要な資料を発見することができたといえる。また、長年聞き取り調査を続けているインフォーマントから、入手困難であり貴重な資料を譲り受けることができた。この資料は、博士論文を執筆する上で、重要なデータが記載されており、入手できたことは大きな成果であるといえる。 |
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6.本事業について | |
民俗学や文化人類学などフィールドワークを必要とする学生にとって、派遣事業は大変有り難いものである。この支援により、資金不足から思うようにフィールドワークを行えないという事態を回避することができた。また、研究の幅を広げ、博士論文の内容をより深化させるという点でも、貢献している。 |
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