国内外フィールドワーク等派遣事業 研究成果レポート





大内英範(日本文学専攻)
 
1.事業実施の目的 【c.国内フィールドワーク派遣事業】
  源氏物語古写本の調査
2.実施場所
  天理大学付属天理図書館
3.実施期日
  平成18年7月23日(日) から 平成18年7月26日(水)
4.事業の概要
   天理大学附属天理図書館所蔵、源氏物語鎌倉期書写本の調査。
室町期書写になる大島本の本文で作られた校注本で源氏物語を読む現在、鎌倉期写本の存在は、研究史から取り残されている感がある。しかし、我々の読んでいる源氏物語の本文がどのように享受され、書承されてきたかを知ることは、その本文がどのように生成されてきたかを知ることであり、そうした意味で、鎌倉期写本の本文を調査することには大きな意味があると考えている。
 天理図書館には、多くの源氏物語鎌倉期書写本が所蔵されている。その中で今回は、伝西行筆宿木巻残簡と、池田本(伝二条為明筆本)について、その本文および本文訂正、行間注記等の調査にあたった。
5.本事業の実施によって得られた成果
  天理図書館に所蔵されている鎌倉期写本のうち、今回調査したものについて、その成果を記す。

伝西行筆宿木巻残簡
鎌倉期写本を最古写とする源氏物語の写本群のなかで、唯一、平安末期にさかのぼる可能性を秘めた写本(残簡)である。小林強氏のご教示によれば、平安末期写とされる他の伝西行筆資料と比較しても、その筆跡の類似性は高く、注目すべき資料である。

池田本(伝二条為明筆本)
これまで数次にわたって続けている池田本の調査であるが、今回は特に絵合巻を中心としつつ、他に数巻を調査し、それぞれの持つ異文および、行間注記について、データを集めることができた。 これまでの調査で得られていたのと同様、親本に忠実な書写態度を読み取ることができた。

6.本事業について
   これから論文に書こうと思っていることをレポートに書かなくてはならず、気が重い。だから提出が遅れてしまう。
 
 戻る