学生支援相談員紹介



seika 17年度 学生支援相談員業務成果報告書

中野 洋平 国際日本研究(国際日本文化研究センター)
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  1. 博士論文研究の概要
   

 日本における多様な宗教者に着目し、近世期における人々と宗教者との交渉から生活の中にある民俗宗教の諸相を考察することを目的としている。近世期には、神職・山伏・陰陽師・盲僧などさまざまな職能を有した宗教者が村落社会に混在しながら展開した。人々はその生活における欲求にふさわしい宗教者と適宜交渉をもっていたと考えられる。ならば村落社会における宗教者たちの展開と人々との関係に注目することで、暮らしの中にある活きた宗教の現実態をみることができるだろう。また宗教者の展開は地域によって異なる。地域的な相違を考察することによって、政治的社会的にさまざまな宗教者が容認された日本近世社会全体の問題として捉えることができると考えている。

  2. 国際日本研究(日本文化研究センター)活用方法
   

 当専攻は設置基盤の性格通り、国際的・学際的・総合的な観点から、日本文化に関する研究を行える場所である。様々な学問領域に専門をもつ先生方や院生が在籍するので、日常的に他分野からの情報を取得できる環境にある。また院生の多くは諸外国からの留学生であり、日文研に在籍する研究者も同様であることから、常に国際的な視野のもとで研究活動を行うことが可能である。当専攻の活用としては、海外における日本研究文献を多く所蔵した図書館の利用と、共同研究会等の参加が挙げられる。その内容等については日文研のホームページを参照していただきたい。相談員が行うことができる業務は、上記活用内容に対する情報の発信とコーディネートが主なものとなろう。


  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     博士課程という限りある年月の中で成果をあげるためにこのプログラムを活用できたらと思います。特に、各専攻の枠にとらわれない研究活動の支援という点について期待をしております。


金 炳辰 国際日本研究(国際日本文化研究センター)
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  1. 博士論文研究の概要
    20世紀初期の日本と朝鮮の知識人、とりわけ社会主義・労働運動に従事した人々が如何なる係りを持ったのかを解明することを研究目的とする。従来の日韓社会主義者の連帯についての研究は、コミンテルン成立後にその研究の重点をおき、その指示に随った形としての「美しき連帯の歴史」として描かれてきた。しかし、それ以前の時期において、またはコミンテルンとは別の路線で両者の間の連携の萌芽はすでに存在していた。とりわけ、最初の在日朝鮮人の思想団体「黒涛会」はこのような下地をもとに結成されたのである。また、朝鮮での1919年の3・1独立運動が総督府の弾圧により、失敗した後のこの時期に両者の連携、特に朝鮮人をして日本の社会主義者に近づかせた理由を大正期の社会主義の思想的背景や特徴から究明することを試みる。

  2. 国際日本研究(国際日本文化研究センター)活用方法
    国際日本研究専攻の設置目的は、国際的視野からの学際的、総合的な日本研究を推進する教育と研究を行うことであります。研究方法としては、人文科学のみならず、社会科学、自然科学をもその視野に入れ、日本の文化・文明・社会・環境を総合的に考察し、日本研究の基礎となる理論的、方法的枠組みを明確化するように励まされています。
本専攻では、日本研究の文献・映像資料の分析、利用方法についての研究開発、日本に関する研究情報の構築やデータベース化に関する方法論の研究開発に力を入れています。当専攻の具体的な活用方法としては、構築されているデータベースの日文研のホームページ上での閲覧や様々な分野をまたがって蔵書されている図書館の利用、各種の共同研究会や基礎領域研究会などの参加を挙げます。相談員の役割は、これらの活用内容に対しての情報提供などになると思います。
  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     去年は「プレゼンテーション事業群」の「国内外研究成果発表等派遣事業」に参加させていただき、貴重な経験ができました。各自の研究領域の特徴があると思いますが、どうやら人文科学系の研究が研究報告の場や人的ネットワークが日本国内だけに限定されがちではないかとも思います。このプログラムは様々な活用方法があると思いますが、日本国内外の研究者たちとのネットワークづくりや、その交流をもとに自分の視野もより一層広げることができるのではないかと思います。


工藤 紗貴子 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)
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  1. 博士論文研究の概要
   

概要:「山形市「山寺」の世界観?山寺夜行念仏を対象に(仮)」
 旧暦7月6日、現在では8月6日の夕方から、翌7日の午前中にかけて、山形県山形市にある、天台宗立石寺、通称山寺の境内で夜通しおこなわれる念仏行事。講単位の行者たちが、回向文(えこうぶん)と呼ばれる念仏歌をあげながら、山内の決められた場所をめぐるものである。最盛期は昭和30年代、そのころは山形市内だけでなく、近隣の市町村から10を越える念仏講中が集まったというが、現在これをおこなっているグループはふたつ。山形市の「山寺夜行念仏保存会」と、隣接する天童市の「高擶(たかだま)夜行念佛講中」である。この行事へのフィールドワークを中心に、「山寺」という場所が、山形県村山地方に於いてそのような意味を持つ場所なのか、なぜこの行事が現在この場所で継承されていこうとしているのか、その「伝承の力学」を探る。

キーワード:人は何故信じるか、記録と記憶、宗教、信仰、芸能、伝承、セクシュアリティ、病と表象、心理、観光

  2. 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)活用方法
     日本歴史研究専攻の授業を受けてみてはどうだろう。開講されている授業は限られているが、充実した内容の講義が多くある。開講されている授業名、内容などについてはお問い合わせ下さい。
入り口から出口まで約4㎞のれきはくの見学、研究用図書室の利用など、ご希望の方はぜひご一報を。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     きちんと整備されている事業ではないぶん、フレキシブルに対応できる部分も多いのではないか。個別の対応を充実させて、せっかくの採択をむだにしないようにできたらよいと思う。


髙田 宗平 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)
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  1. 博士論文研究の概要
     日本古代中世典籍に引用される漢籍を手がかりとして、日本古代中世に於ける『論語義疏』の受容と展開の文献学的研究および学問史的研究をしています。
日本古代中世に於いて『論語義疏』の如何なるテキストが、どのように受容され、展開していったということを知ることは、当時の学問の在り方、更には文化を知る上で重要であると思います。日本古代中世典籍に引用される漢籍を取り上げ、厳密な文献学的方法に基づいたテキストの系統を明らかにすることを通じて、上記の課題にアプローチしたいと考えています。

  2. 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)活用方法
     歴博には、歴史・考古・民俗・情報資料の四研究系があり、狭義の日本史学のみならず、日本文化全般にわたる研究がされています。日本歴史研究専攻でも、文献史学、考古学、民俗学から、自然科学的な方法を取り入れた研究まで、学際的な授業が開講されています。従って、従来の学問の枠にとらわれない研究をしている院生も多いです。興味がある方は、教員や院生を紹介します。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     本プログラムを機に、日本文化の総合的研究の視座に立って、他専攻の方々と交流を深めたいと思います。

松岡 葉月 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)
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  1. 博士論文研究の概要
   

 研究テーマは、「生涯学習時代における歴史展示および博物館教育に関する実証的研究 -展示と学習プログラムの特性に基づく利用者の実態分析を中心に-」です。展示は利用者にどう理解されるのかという視点から、歴史展示の活用における利用者の 実態を展示と学習プログラムの特性に基づき、教育学や認知心理学の理論を援用して分析しています。これをもとに、利用者側の視点からの展示表象や、利用者の主体的学びを促す博物館学習理論と学習プログラムを構築したいと考えています。
 歴史展示には、解説型と、利用者が五官を通して関われる体験型の展示がありますが、 それぞれを対象とし、主に、児童・生徒の利用者の活用実態を中心に研究を進めています。個人的に、博物館の種類を問わず、展示全般に興味があります。

  2. 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)活用方法
     国立歴史民俗博物館は、歴史、考古、民俗の三学協同による研究を行い、その成果を館内の常設、及び企画展示に反映しています。その他、展示だけでなく、シンポジウムや講演会を開催しており、ご案内をネット上でもご覧いただけます。
  展示、学会活動のいずれかにおいて歴博をご活用される場合、その他、研究に関して詳しい情報を必要とされる場合、ご相談下さい。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     国内、国外のフィールド・ワークの方法や内容について、互いの研究テーマに関連のある情報を交換できればと思います。また、皆さんが参会される学会と、ご発表内容などについても情報交換し、博士論文研究に有益な学際的な研究が行えればと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

葉山  茂 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)
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  1. 博士論文研究の概要
     日本国内の漁業集落を対象として、エスノサイエンスの視点から漁師たちの自然知識と、その知識にもとづいた自然資源の利用と規制について、民族誌を描く研究をしています。法律的な規制はもちろんのこと、人びとが自然資源を使うなかで生じる現場の人びとの資源利用の論理を、政治的、環境的、技術的な状況の変化に対応させながら、ライフヒストリーの聞き取り資料などを用いて通時的に検討しています。 同じテーマを中国雲南省のハニ族を対象としても調査しています。

  2. 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)活用方法
     日本歴史研究専攻にはおもに歴史学、考古学、民俗学、史料科学など、多岐におよぶ研究をする学生があつまっています。そのため、個別事象研究や個別地域研究の枠を超えた研究が行われる可能性を秘めています。
私は民俗学、人類学方面についての分野についてとくに支援をすることができると思います。教員、院生の紹介などをついてお手伝いをしていきたいと思っています。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     日本文化研究が単純に日本を対象としていては、検討すべき問題が小さなものになってしまう可能性があると思います。そこで、単純に個別の地域や事象を検討すると言うだけでなく、その垣根を越えてグローバル化するなかでの日本の研究という立場が必要になってくるでしょう。
地域や対象を超えた共通の問題について、各専攻を超えて検討のできる環境を整えるお手伝いができたらよいと思っています。

佐貫正和 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)
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  1. 博士論文研究の概要
    題名:「近代日本における自由主義的共和主義の考察―丘浅次郎・正木ひろしを対象に―」

【自由主義】
個人を基軸にした場合は、主体性を剥奪する精神構造の批判と主体性の拡充という「近代人の自立」がテーマになります。集団を基軸にした場合は、人々が抱く集団の共同意識やそれを支える柱を何に求めるのかという「公共性の課題」がテーマになります。つまり、人々と集団の関係性が明確になる思想です。

【共和主義】
独裁的な権力へ対する制限や否定を意味する「君主制否定」と、憲法による主権確定や議会による主権運用などを意味する「人民主権」が対で成立する政治思想です。つまり、天皇制と民主主義の関係性が明確になる思想です。

【共和主義の伝統】
日本で民主主義が出現・定着したのは一体いつからでしょうか。近代日本では、市民や議会と君主制の対立は全く行われず、君主制の強化と民主主義の抑圧が進行した後に、戦後改革と日本国憲法により民主主義が出現・定着したとされます。しかし、本当に民主主義抑圧と配給民主主義だけだったのでしょうか。歴史学的に考えると、近代日本に生きた人々の思想という小歴史では、近代日本における自生的民主主義が存在したのではないでしょうか。これは、近代日本に生きた人間が時代と向き合う中で、日本の内・下からつくりだした民主主義のことであり、具体的には共和主義が浮上します。家永三郎氏は、近代日本にはブルジョア民主主義の変革エネルギーが自生的に存在・連続したと「共和主義の伝統」を提起しました。私の課題は、家永仮説を批判的に継承して、近代日本における自生的民主主義を明確にすることです。

  2. 日本歴史研究専攻(国立歴史民俗博物館)活用方法
    ①日本近現代思想史と日本戦後史に関する支援:自分の専門分野がこの2領域なので、幅広い観点で意見交流・情報共有化・議論・読書会・共同研究などが可能です。なお、私の研究のキーワードは、自由主義(個々人と集団の関係性)、共和主義(天皇制と民主主義の関係性)、「共和主義の伝統」、明治初期の時代精神、文理結合の学問形態などです。

②研究会情報の共有の支援:現代思想史研究会、現代史研究会、思想の科学研究会、東京歴史科学研究会、同時代史学会、南京事件研究会・沖縄戦研究会合同研究会など。問題意識・分野・アプローチ・資料が絞り込めていればそれに見合った支援を心がけます。

③博物館の歴史展示の紹介:歴博の近現代に関する展示、お客様の受容と歴博の供給の関係性、歴史教育と博物館展示の関係性などに関して、情報共有化や共同研究が可能です。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
    ①文化科学研究科「総合日本文化研究実践教育プログラム」についての意見:情報共有化や既成プログラムの円滑化などの<学生の支援>という観点と、企画の立案と実行や共同研究などの<学生による企画>という観点の2つが交差しているようです。今後はこの2つの整理や役割分担を明確化する必要があると考えます。

②今後期待する点:情報共有化や共同研究などを通じて、博論にリンクした活動が必要。

豊増 佳子 メディア社会文化(メディア教育開発センター)
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  1. 博士論文研究の概要
     看護師が学習した知識を活用し実践する場合、一看護師と一患者との関係や実践だけで患者の問題を解決できるわけではない。つまり個対個における看護ケアにとどまらない、集団や組織における患者ケアが必要になってくる。そのため看護基礎教育においても、看護提供システムや看護管理の視点から、組織論、リーダーシップ・マネジメント、集団行動・意志決定、チーム医療などの学習や実習を何らかの形で導入している。それにもかからわず、卒業し実践現場に出た新人看護士は、さまざまな理由でリアリティショックに陥ることが多い。ただ、医療現場の複雑・急性期化、そして患者の権利・倫理的問題によって実践現場において可能な実習も限られてきている。このような状況の中で、この問題の背景を再検討し、問題解決する効果的な学習環境や方法について検討している。

  2. メディア社会文化(メディア教育開発センター)活用方法
     メディア社会文化専攻では、文系理系という枠にとらわれずに、メディアと社会・文化・人間・教育について研究する場です。基盤機関である独立行政法人メディア教育開発センターでは、高等教育におけるメディア活用に関して、最先端の研究開発、普及促進が行われています。また、メディアを活用して教育や研究についてのネットワークやコラボレーション、そして支援を行っているようです。興味のある方は、その内容を提示いただければ、関係部署や教職員へ呼びかけを行い、その解決可能性や共同作業への足がかりを探りたいと思っています。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     高等教育や研究機関の場合、各専門を極めるだけでも多くの深い知識、そして時間を要します。そこに使命があるのだと考えていました。しかし今回、所属専攻の枠を超えた教育研究活動という構想を知り、それがどのような課程や必要性で発想されたのかなどが興味深いところでした。
 ただ、自分自身としましては、自分の所属している専攻の中だけでも、多岐にわたる研究領域全体を把握することさえできていない状況です。そのため私としてはまず、自分の所属している専攻や基盤機関組織を理解することからはじめたいと思っています。そうすることで初めて、支援相談員としての役割が果たせると考えています。

林 海福 メディア社会文化(メディア教育開発センター)
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  1. 博士論文研究の概要
     ソフトウェア開発においては、ユーザーのニーズに従って機能や性能などを満たすと同時に、「人間中心設計」を目指し、「ユーザビリティ」を高めるために、様々なプロトタイピング手法でユーザビリティ評価の開発プロセスが不可欠となっています。
 修士課程においては、ペーパープロトタイピング手法についての有効性、効率性を研究しました。その結果は、ペーパープロトタイピング手法は短時間かつ安価に作成でき、有効であると明らかになりました。そして、この手法の特徴を活かし、ソフトウェア開発プロセスとその枠組みを研究しています。

  2. メディア社会文化(メディア教育開発センター)活用方法
     メディア社会文化専攻では、さまざまなメディアやITなどの情報が活用できるために、FDやeランニングなどに関する研究を行っています。その研究成果に関する情報に興味のある方が声をかけていただければ力になれるようにがんばりたいと思っています。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
   

一戸  渉 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)
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  1. 博士論文研究の概要
     上田秋成を中心とする日本近世中後期の上方における学芸交流に関する研究。取り分け古典注釈(和学)と創作の相関、地方と都市間における文人のネットワークと門流形成、書誌学的アプローチに基づく書物交流などといった問題に主眼を置いている。

  2. 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)活用方法
     国文学研究資料館。所在地は東京都品川区戸越。国内外に所蔵されている古典籍(明治期以前に刊行、ないし書写された資料)をマイクロフィルム化し収蔵している。またその他、日本文学研究に関する資料を広く収蔵し、閲覧に供している。他の専攻の方々に対しては、基盤機関である国文学研究資料館所蔵の施設を円滑に利用できるよう、最大限の支援をさせていただきたく思う。
  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     本プログラムが、様々な形で他専攻の方々との交流のきっかけとなることを望んでいる。例えば基盤機関が隔たった専攻間で共同研究会を開催するなど、従来困難だった事が可能になる事で多く刺激を得ることが出来ればと思う。

大内 瑞恵 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)
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  1. 博士論文研究の概要
     『近世期における古典の受容』を主題とし、近世の和歌・和文において百人一首や伊勢物語などをはじめとする「古典」的作品がどのように受容され、展開していったかを考察。
人物研究、作品研究、文化史的研究など。


  2. 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)活用方法
     文学を主とする文献資料、および各地の図書館・文庫の古典籍のマイクロフィルムを所蔵する国文学研究資料館は、文献資料の調査研究にたいへん便利です。
国文学研究資料館の利用方法、資料の検索などについて協力できるかと存じます。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
   

 派遣事業のようにいままで交通費の面からあきらめていた調査が行えるということをたいへんうれしく思います。いろいろとお世話になります。
 ただ、学生支援相談員につきましては、勤務形態に問題があるようです。ときには(授業が午前中のみの日など)1時から5時まで(4時間)勤務などのようなパートタイムの勤務形態を総合研究大学院大学の方で認めていただけましたら、よりいろいろなことができると思います。このままでは、逆に研究の妨げになることの方が多く、実際問題として 「講演会」などの場合、期日が決まっているために打ち合わせなどどうしても必要なことは勤務時間外にするような状況です。お給料をいただく以上、業務があることは当然ですが、授業のない時間を業務にあてることができないことは、たいへん不便なことと思います。


大野 順子 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)
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  1. 博士論文研究の概要
     私は「十三世紀前半の和歌表現にあらわれる歌謡性」を研究テーマとしております。
 平安後期ごろから流行しはじめた今様は、後白河院によって、大々的に宮中に持ち込まれ、いっそう貴族らの注目を集めることとなりました。そこで、この民衆のあいだから立ち上がってきた歌謡が、もっとも貴族的な文学表現である和歌にもたらしたものとは如何なるものであったのかを、今様法文歌の母胎となったといわれる訓伽陀や古和讃、あるいは催馬楽となどの前代の歌謡と中古和歌の関係もふまえつつ、明らかにしていこうと考えています。

  2. 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)活用方法
     国文学研究資料館では、日本文学に関する資料の総合的な調査研究・収集が行われており、各地の図書館・文庫・寺社等に所有されている資料のうち約18万点ほどがマイクロフィルム等で所蔵されています。また、貴重な古典文学作品の原本や歴史史料も多数収蔵されておりますので、これらの収蔵物は日本をテーマとしたさまざまな分野の研究に役立つことと思います。
 私自身は中世日本文学を中心に研究をしておりますので、そのあたりのことでしたらご相談にのれることもあるかと思います。それ以外のことに関しても、学生支援相談員としてできる限りサポートをしたいと考えておりますので、ご用がおありの際は、お気軽にご連絡ください。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     「総合日本文化研究実践教育プログラム」における5事業群のうち、「プレゼンテーション事業群」の「研究科選定国際会議等派遣事業」に昨年参加させて頂き、非常に有意義な経験をすることができました。これ以外にも貴重なプログラムが数多くありますので、折角の機会を見過ごすことなく、より多くの学生が活用できるよう、さらなる働きかけを進めていく必要があるかと考えております。

中島 次郎 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)
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  1. 博士論文研究の概要
     近世(江戸時代)前期、延宝4年(1676)に、江戸で編集された歌謡集『淋敷座之慰(さびしきざのなぐさみ)』を取り上げています。
 『淋敷座之慰』は、謡、浄瑠璃、歌舞伎の歌謡、万歳や大黒舞などの祝福芸、木遣や船歌、西国・坂東三十三所巡礼の御詠歌、琴の歌、手まり歌、盆踊り歌、遊里で歌われた流行歌など、近世前期に流行したいろいろな種類の歌謡70題262首を集成した歌謡集です。この1冊から派生する諸問題を考究しつつ、近世前期という時代の文学・芸能の諸相の把握を目指しています。

  2. 日本文学研究専攻(国文学研究資料館)
     日本文学研究専攻のある国文学研究資料館では、日本国内をはじめ海外に所蔵される日本文学作品のマイクロフィルムによる収集が行われており、江戸時代のものを中心に、原本のマイクロフィルムを閲覧することが可能です。近年は近代文学にまで範囲を広げて収集しています。
 日本文学研究専攻では、現在11人の院生・研究生が、これらの豊富な資料をもとに、それぞれ博士論文の作成を進めております。平安時代(中古)から近代まで、物語・和歌・漢詩文・仏教・歌謡・文法・小説などさまざまなジャンルに精通(?)した優秀な学生が揃って(?)います。
文学関係の資料探索・文学に関する質問等、必ずお役に立てることと思っています。

  3. 「総合日本文化研究実践教育プログラム」について
     1期生として入学した当初は、学生数も少なく、学生としてどういう教育的な支援を受けられるのかもよく分からず、授業以外で殆ど大学を活用できていなかったように思います。3年目も過ぎようとし、学生数も2桁に達した今、このようなプログラムが始動し、研究活動の支援を受けられることは大変有難いことです。私は留年して来年度に修了する予定ですが、これからの1年弱の間、プログラムを活用して大いに成果を上げたいと考えています。