ポスター発表

ポスター発表

Education for IT professionals in Professional Schools and Master’s Programs (高度IT人材育成のための大学院教育の比較研究)


発表者所属名
メディア社会文化専攻
発表者氏名
石原 朗子

 研究の背景

1.高度IT人材の不足
日本では、IT(informaition technology)に関わる人材のうち、高度な能力を伴う高度IT人材が不足している。IT人材白書2009では、人材の量が「大幅に不足」と答えた者が16.2%に対して、人材の質が「大幅に不足」と答えた者は32.4%であった。また、人材の質に関して年齢が低い方がスキルレベルも低いという結果がある。これらのことから若手の高度IT人材が求められている。

2.専門職大学院の誕生
2003年に専門職大学院制度が発足し、IT分野でも専門職大学院で専門家養成が行われるようになってきた。一方で、従来からある大学院修士課程でもIT人材の育成が行われている。

 目的・対象・方法

 では、大学院修士課程と専門職大学院という2つのタイプの大学院では、高度IT人材育成について、その教育内容、方法、ミッションなどに違いがあるのだろうか。これについて文献資料を中心に検討し、両者のタイプの大学院の相違や類似を比較検討することが目的である。方法は、関係するWebページや文献資料の内容分析による。対象校はミッションの近いと考えられるIT系専門職大学院3校、IT系大学院修士課程6校(2006年度先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム選定校)である。

 結果

1.類似点

①いずれも高度IT人材の育成を目指し、実践的な方法(project based learningなど)を用いて教育を行っている(達成目標・教育方法の類似)。

②方法は異なるが、いずれも産業界からの支援、産業界との結びつきにより、企業に適した人材の輩出を目指している(産業界との連携の類似)。

③学位は授与されるが、修了の成果としての特定の国家資格は授与されない(学位・資格の類似)。

2.相違点

①専門職大学院:
企業からの実務家教員が一定割合を占め、彼らを中心にITやビジネスのスキルを教える。

②大学院修士課程:
教員が学問的知識を教えるとともに、産学連携により実務家(企業人)が実践的なスキル教授を支援する。

⇒産業界と連携の仕方や実務家(企業人)の関わり方が異なる。

 今後の課題

教員・学生・修了生へのインタビュー・アンケート等

①教員、学生、修了生へのインタビュー(仮説の生成)
解明する事柄:教員の育成したい能力、学生の身につけたい能力の追求
着眼点:大学院タイプによる相違,企業の要望との関連性

②アンケート等による仮説の検証