あいさつ

    文化科学研究科長 新谷尚紀

文化科学研究科では、人間の文化活動ならびに人間と社会、技術および自然との関係について総合的な見地に立った教育と研究を行うことにより、国際的な通用性をもつ幅広い視野を備えた研究者及び高度な研究能力をもって社会に貢献する人材を育成しています。

研究科の専攻が置かれている国立民族学博物館、国際日本文化研究センター、国立歴史民俗博物館、メディア教育開発センター、国文学研究資料館にはそれぞれ貴重な学術資料や膨大な文献資料等が保有されています。そして、多数の先端的な優れた研究者集団が研究活動を行なっています。この豊富な資料と優れた研究者集団がそれぞれ専門分野の先端的な研究開拓へ向けて教育研究を行なう点に文化科学研究科の特徴があります。同時に、研究科内の各専攻の教員や学生の交流などこれらの高度な研究環境を横断的に活用し、日本文化研究を中核とする関連諸分野と有機的に連動できる創造性豊かで優れた専門応用能力を涵養させる目的で、平成17年度と18年度の文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブに応募し採択されました。これにより学際的で先導的な文化科学研究をさらに推進し、新しい日本文化研究へのチャレンジ精神を備えた創造性豊かな若手研究者の育成を図っています。

この平成17年度の文化科学研究科学生合同セミナーはこのイニシアティブ事業との連関のもとに、
もう一方で準備されてきた特定教育研究経費による事業「有機的に連動した文化科学研究教育の推進に関する実践的研究」の一環として実践された学生の海外派遣支援事業の成果報告会でもあります。こうした活動が今後も院生各位による専攻の枠を超えたより創造的でより先進的な研究の推進と開拓に役立つことを願っています。汗を流された関係者各位に感謝と敬意をささげます。




平成17年度・総研大文化科学研究科・学生合同セミナー開催にあたつて

国際日本研究専攻長  早川聞多

今回、文化科学研究科では新しい形で学生合同セミナーを開催することになりましたが、このセミナーの目的は本年度から始まつた本研究科の大学院教育を改革するための新しい試みの一環であります。

本研究科が本年度から開始した事業の内、第一にあげるべき事業は、海外で開催される学会あるいはシンポジウムに学生が参加することを積極的に支援することでした。事業の告知が本年度に入つてからになり、しかも急な告知にならざるを得なかつたといふこともあり、はじめは参加者が少ないのではないかと案じられましたが、各専攻の努力により初回の事業としては多くの申請者がありました。この事業の目的は、理科系に比較して文化系、特に日本文化の研究を志す学生が海外における日本研究の実情や動向を体験する機会がたいへん乏しいといふこれまでの状況を考へ、若い内にさうした体験をすることによつて、国際的視野にたつた研究活動を計画し、研究意欲を高めるところにあります。従つて今回の学生合同セミナーの第一の課題は、この新しい事業に参加した学生の報告を研究科内の教員ならびに各専攻の学生に広く知つてもらふ点にあります。

また本セミナーのもう一つの課題は、各専攻で孤立しがちな研究を研究科全体に拡げ、各専攻の学生間の積極的な交流を目指すものであります。学生合同セミナー自身は、これまでも毎年四月に葉山本部で開催される入学式に引き続いて行はれてゐましたが、どうも各専攻のパネル紹介くらゐで終はつてゐました。そこで今回のセミナーでは、専攻が所蔵する具体的な資料(今回選んだ資料は歴博所蔵の歴博本『洛中洛外図屏風』)をあらかじめ共有し、それを中心に各専攻の学生がそれぞれの観点から論じ合ふといふ新しい方法を試みることになりました。かうした一つの資料を媒介にした専攻間の学術的交流を通して、多角的な物の見方を互ひに知ることがこの事業のもう一つの目的であります。

なほ今回の学生合同セミナー開催にあたり、活発な意見交換を重ねながらセミナー開催にこぎつかれた学生企画委員の皆さんの努力に感謝したいと思ひます。

 


《開催期間》
平成17年12月12日(月)13時~12月13日(火)14時30分

《開催場所》
ヤマハつま恋リゾート ホテルスノーウイング 「コンベンションホールM」
静岡県掛川市満水2000 TEL0537 (24) 1111

《参加人数》
学生27人
教員14人

《プログラム》

  1. 海外学術交流支援事業成果報告会
  2. 交流会第1部 学生企画
    「知的資源共有化への試み-洛中洛外図屏風歴博甲本を題材に- 」
  3. 交流会第2部 教員講演会
    「はばたけ世界へ!私の海外初体験-海外に於ける研究への第一歩」
  4. 《写真集》
    セミナーの様子はこちら

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《報告書照会先》
  『17年度学生合同セミナー報告書編集委員会』
     編集長   七田麻美子
     副編集長  中野洋平