イニシアティブ事業概要

ワークショップ

B班

吉田 小百合 「「今めかし」小考-主に物語作品の類型の継承について-」
[ 検討内容 ]
[ 地域文化学研究専攻 ]高木 仁

 B班の課題は吉田小百合さん(日本文学研究専攻)のポスター発表を「高齢者」にわかりやすく伝える、又は「高齢者」と伝え合うための案を考えるというものでした。

 まず、B班で取り組んだこと(これは「高齢者」に限ったことではないが)は、ポスターを見にきた平安後期の文学作品になじみのない人達に、いかにして研究の意義を理解してもらうかでした。紙面からは取り組んでいる時代の既存の理解や、その時代に関する議論やテーマがやや不明確でした。そのためそれらを図示・表記し、それに対する仮説を設定・表記することが提案されました。

 次に取り組んだのは、「高齢者」に向けて全体を見やすくし、研究を伝え合いやすくすることでした。提案として字を大きくする、色遣いを工夫する、キャッチフレーズをつけるなどの案があがりました。

 最後に吉田さんのポスターで多くの紙面が割かれていた資料・図表の提示の方法(特に家系図の示し方)について提案がありました。藤原師輔の血脈である九条流を中心とした家系図でしたが、系図は師輔の父の忠平から始まっていたため、研究の中心がどこにあるかが、系図を見ただけでは不明確でした。よって展示の際には、藤原氏のどこからどこまでを分析範囲とするか、それらは何を根拠としているのかといった点を明確にすることが提案され、系図のわかりやすさや分析の根拠の明確化が、「高齢者」と伝え合うための展示につながるであろうという提案がなされました。

 

[ コアコメント ]
[ 日本文学研究専攻 ]吉田 小百合

 本グループでは、高齢者を観覧者として想定し、吉田のポスター発表(「今めかし考」)の内容をどのように展示として構成すべきかを教員と学生で討論しました。私はワークショップ自体が初めてのことで、勝手が分からないことが多く、作業開始当初は学生からの意見もまばらでした。しかし、先生方からのアドバイスによってお互いに積極的に意見を出すことが出来、一般の方の目線から見て分かりやすい展示内容を構成出来たのではないかと思います。今回の作業通じて、普段のあまり交流のない他分野の方々から研究についてのご意見を頂けたことは私にとって大変有意義な経験となりました。